理事長所信
■はじめに
奇跡と称された20世紀の技術革新、それは「こうありたい」という夢を持った人々の想いと努力の結実に他なりません。そして、現実となった夢の数々は、私たちに多大な可能性と恩恵を与えてくれました。しかし、21世紀は夢ばかりではなく、核兵器や地雷、生物化学兵器等の脅威、地球温暖化、テロリズムや戦争の恐怖等の"負の遺産"という厳しい現実も突きつけてきました。
一方、世界屈指の発展を遂げた日本経済は、1990年代以降、右肩上がりの安定成長が終焉し、長引く不況とデフレ現象の中にあります。そして、経済的、物質的豊かさ追求の影に、あるいはその結果として、様々な問題が表面化し、解決すべき課題が山積しています。
このような中、私たち青年会議所においても、モチベーション、実質参加率の低下といった問題が年を追うごとに深刻となり、時代の転換期という不安定な状況と、青年会議所自体のパワーダウンというジレンマを抱え、内外から「こんな時代にJC」云々と囁かれています。しかしそれは、私たち自身がJCの価値や存在意義を見出せずにいるからではないでしょうか。
こんな時代だからこそ、JCが担うべき役割や他にはない価値が必ずあるはずです。
今一度原点に立ち戻るとともに、JCの存在価値を創造し、価値ある集団として新たな一歩を踏み出さなければならないと考えます。そのためには一人ひとりが自己を見つめ、個性を知り、価値観を確立することが必要なのです。
社団法人中条青年会議所の伝統を胸に、夢を語り合い、「何事も恐れずにやってみよう」という挑戦意欲と、自らの手で現状を変えてゆく気概をプラスし、こころ一つに前進してゆこうではありませんか。
創立25年目の本年、メンバー個々の資質向上をはかるとともに、会の将来的方向性、地域との関わり方を確立するべく、実践的に活動いたします。

■ひとづくり
現在、社会問題として連日取り上げられる、青少年の非行や犯罪の原因が、少なからず私たち大人にあるとことは疑いありません。当LOMにおいても「わんぱく相撲」や「中学生労働体験学習」といった未来を担う子供たちをテーマにした事業に取組み、一定の成果を上げて参りました。また、メンバーの多くがPTAに関りを持ち、JCとしての教育関連の活動を更に進化させています。しかし、全ての礎として、先ずは私たちひとり一人が、自立した市民として行動するための活力、知力をより高めることが、真の人間力開発ではないでしょうか。
21世紀は、自己責任を前提とした「個」の時代と言われ、個人が自らの意志と責任に於いて判断、選択し行動することが求められています。人間力開発事業を通じて、急速なテクノロジーの進歩や社会の激しい移り変わりの中で、ともすると見失いがちな物事の本質を見極める力を養い、「気づき」や「学び」を日常のフィールドで実践できる能動的な「個」を確立したいと考えます。

■まちづくり
1980年創立以来、社団法人中条青年会議所は、基本理念、並びに定款第3条の目的に基づき、数々の事業を試み、"地域を捲き込んだ"まちづくり運動を展開して参りました。しかし近年、行政や他団体が地域活性化事業を展開し、青年会議所が協力・支援に回るという傾向が顕著になり、逆に"青年会議所が捲き込まれる"ケースが多くなって参りました。むろん、こういった支援・協力依頼は、私たちの実績・組織力・行動力等が対外的に一定の評価を得ている証でもあり、可能な限り要請に応じて参りましたが、この地域でまちづくりに先駆的に取り組んできた団体として、現在の閉塞した地域の状況に鑑み、より主体的な観点から真に地域に根ざした活動を行うべきであると考えます。
また、青年会議所は単年度制の原則もと、毎年組織がリニューアルされ、新しい切り口で「まちづくり」「ひとづくり」に取り組むことができる反面、事業が単発的となり、目的が結実せずに終わる、あるいは継続要望のある事業が消滅してしまう場合もあります。単年度制は、方向性が明確な時代には有効ですが、現在のように社会全体が新たな拠り所を模索している時代においては、対外的には「無責任」、対内的には「自己満足」という名の言い訳になってしまう危険性を内包しています。今後、私たちが真に地域に根ざし、将来に向けての価値を創造し、地域との信頼関係を築くために、複数年に及ぶ事業実施・継続の是非を検討すべきではないでしょうか。
こうした状況に鑑み、本年度は、昨年実施した「未来創造グランドデザイン策定事業」の理念を引継ぎ、「自分たちのまちは自分たちでつくる」をコンセプトに、行政、一般市民と連携し、公開を原則としたまちづくり共同プロジェクトを発足し、継続性のある運動展開の基礎を造りながら、地域の問題を自らの問題と捉え、積極的に果敢に関わっていく行動力をメンバーが主体的に発揮することで、JCの存在価値を対外的に力強くアピールするとともに、地域に風を起こすべく、提言・実行して行きます。
JC外部の方々からは、多くの事が学べ、また、受ける刺激や批判は私たちをグレードアップさせてくれる筈です。そして、こうした「実践の場」において問題と正対し、社会に対して自らの意思を表すことのできる「個」が更に育まれ、真摯な議論からまちづくりへの共通の思いをもった「公」の精神がこの中条の地に宿るものと確信いたします。

■おわりに
人は節目の年に、過去を振り返り、決意を新たにするのではないでしょうか。LOM25年の歴史を未来への「資産」と捉え、それを礎に行動することが、より良い未来創りに繋がるものと確信いたします。また、一人ひとりの変革の積み重ねこそが現状を打破し、社会をより良く変えていく推進力となります。個人の力は小さなものですが、個人が集まり社会が構成されているように、個人の変革こそが社会の変革へと繋がるのです。自分を信じ、一人ひとりが変われば、未来は変わっていきます。そして、私たちが夢と希望に溢れた新世紀の創造を目指したように、次世代が更なる未来に夢を育めるような「明るい心豊かな社会」を実現し、伝えて行くことが、私たちの使命であると考えます。
節目の年を新たなスタートの年と捉え、未来への一歩を共に歩み出して行きましょう。
<2004年度 スローガン>
〜自身(JAYCEE)への挑戦〜
< 基本方針 >
1.  委員会活動の充実
2.  企画力向上
3.  会員拡大
4.  自己責任と使命感をもったJCづくり


< 重点事業 >
1. 25年記念式典の実施、記念誌作成、過去事業の見直し
2. 中長期的地域ビジョンの策定及び提言書作成
3. 人間力開発事業
4. 他団体との連携


< 委員会事業 >
■まちづくり委員会
1) まちづくり研究会への参加(月1回の勉強会)。提言書作成。
2) 25周年記念事業企画運営
3) 地域歴史文化創造事業の企画運営(例会1回)
4) まちづくり講演会の企画運営
5) 他団体(行政、NPO)との渉外窓口

■ひとづくり委員会
1) 人間力開発事業(体験型事業)
2) 25周年記念事業企画運営
3) JC塾企画・運営
4) 中学生親善野球の企画運営
5) わんぱく相撲中条場所の開催
6) 他団体(各商工会他)との渉外窓口

■総務交流委員会
1) 総務運営
2) 総会、例会、理事会の運営
3) 忘新年会、卒業セレモニーの企画運営
4) HPの管理

■三役
1) 例会行事の企画
2) 出向者支援